頚椎捻挫後の聴力障害として 9級9号後遺障害認定(東京都)

(プライバシーに配慮して、簡略化しています)

経緯

高速道路の渋滞で停車中、後方から衝突され、頚部等を受傷。その後、聴力が低下して片耳の難聴となり、むち打ちの神経症状の治療と並行して、耳鼻科の治療、症状固定するも、半年経過しても任意一括社(任意保険会社)は聴力障害と事故との因果関係を否定して、申請をしない状態が続き保険会社に不信感を抱き、当事務所に相談、受任する。

問題点

①耳の直接の外傷がないことから、保険会社は事故と聴力障害の因果関係を完全否定しており、その因果関係の問題。

②聴力障害の証明の困難性の問題。

対処方法

①については、すべての事実関係を精査して、本件交通事故と聴力障害との相当因果関係を証明するためのオリジナルの様式で医学的資料を作成、医師に協力して頂き、その他の資料と合わせて因果関係を証明。

②単にオージオメータの聴力障害の数値が後遺障害診断書に記載されただけでは、聴力障害として後遺障害認定はされず、その他の検査や多数の資料が必要となり、この資料を収集・整理して「1耳の聴力を全く失ったもの」として、聴力障害の整合性を証明。

結果

頚椎捻挫後の聴力障害として「1耳の聴力を全く失ったもの」9級9号、頚部神経症状「局部に頑固な神経症状を残すもの」として14級9号認定。

行政書士のコメント

耳に直接の外傷がない場合の聴力障害の外傷性(因果関係)の証明は、実務上困難な証明となります。

この相当因果関係の証明については、任意保険会社が決めるものではなく、さらに、医師が決めるものではありません。

事実この事案でも、任意保険会社は因果関係を認めず、医師も後遺障害診断書で「事故との因果関係は不明」と記載しています。しかしながら、因果関係に関する証明は、医師の協力は必要ですが、主治医が明言して因果関係を認めるから事故との因果関係が肯定されるものではありません。多数の資料を精査して、必要な資料を作成して、提出すれば、調査側も公平に適正な等級を認定します。

なお、この事案ではCT等の画像検査で異常所見ははっきりとしたものはありませんでした。

 

現在、ネット等には色々な情報が溢れていて、行政書士等もそれを真似てホームページを作成していたり、医療提携を謳う専門家が増えています。しかし、この事案では特別な裏技や提携した医師を紹介して認定されなのではなく、今まで治療をして頂いた医師にお願いして、過去の「事実」の証明を一つ一つの資料を丁寧に積み重ねて真実に近づけていく地道な作業で認定されたと考えています。

個人的には、この世界にゲームのような裏技や裏道などはないと考えています。大切なのは、経験を通じて、基本を知り、自分の言葉で考え、一つ一つ丁寧に事実関係を精査して、その事実を証明する事が大切と考えます。

最後に、全く過失もなく、後方から加害者の不注意で衝突され、片耳が全く聴こえなくなった被害者の立場になれば、どんな賠償金を得ても納得できるものではありません。特にこの事故は首都高の走り屋の遊びに巻き込まれた事故で不運という他なく、さらに保険会社の不誠実な対応で2重の被害を受けた事案でした。これは、交通事故被害者の不合理な典型的な2重被害の例と言えます。