交通事故による高次脳機能障害

交通事故による高次脳機能障害は、交通事故を原因とする脳外傷により、脳の高次の機能である記憶・言語・学習・行動などに障害が残るものいい(明確な定義はないようです)、日常生活や労働上の支障がでる障害です。

この障害は、性質上本人が自己分析をできず、本人に後遺症という認識がない場合があり、自覚症状を訴えることができず、医学的にも見落とされやすい後遺症であり、十分なリハビリや補償がなされず、問題です。

そこで、近くにいる家族が高次脳機能障害について理解してあげて、高次脳機能障害の専門の医師の診察を受け、検査して、事実に基づく診断を受けることが大切です。

その上で、社会復帰のために、リハビリ等で治療し、後遺症が残った場合には、生活補償の方法を考えて、交通事故被害者を保護しなければなりません。

この障害は、まず受傷時に脳外傷がありMRI等の画像検査で器質的な脳の損傷等が確認されていて、意識障害が継続(6時間以上)又は軽度の意識障害(1 週間以上)が続いていた場合、その後、一定期間治療をしたが、記憶力・判断力・言語力・理解力・集中力などが事故以前と比べて低下したり、変わってしまっ た場合などに、交通事故(脳外傷)による高次脳機能障害が疑われます。

この場合には、自賠責保険では、多様な検査を実施して、高次脳機能障害の立証をすることになります。

なお、現在では、高次脳機能障害に対して自賠責保険の他、労災、障害者手帳、障害年金などの社会保障が多くあります。一人でも多くの人が、この傷病を理解して、補償さればと考えています。

後遺障害認定基準

自賠責保険では、以下の後遺障害認定基準でその程度が判断されます。

別表Ⅰ(介護を要する後遺障害) 1級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

(補足説明)身体機能は残存しているが高度の痴呆があるため、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの

別表Ⅰ(介護を要する後遺障害) 2級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

(補足説明)著しい判断能力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することができず、日常生活範囲は自宅内に制限されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声かけや看視を欠かすことができないもの

別表Ⅱ                3級3号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

(補足説明)自宅周辺を一人では外出することができるなど、日常生活の範囲は自宅内に限定されていない。また、声かけや、介護なしでも日常生活の動作を行える。しかし、記憶力や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などの著しい障害があって、一般就労がまったくできないか、困難なもの

別表Ⅱ                5級2号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

(補足説明)単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を維持できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助をかかすことができないもの

別表Ⅱ                7級4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

(補足説明)一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの

別表Ⅱ                9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当程度に制限されるもの

(補足説明)一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

身体性機能障害について

脳の外傷を原因とする高次脳機能障害は、それと同時に身体性機能障害が併存することがあります。

高次脳機能障害と身体性機能障害が併存した場合の処理は、高次脳機能障害の程度、身体性機能障害の程度及び介護の要否・程度を踏まえて総合的に判断される。

例えば、高次脳機能障害が5級に相当し、軽度の片麻痺が7級に相当すると判断されても、複数の後遺障害を個別に評価して単純併合の3級とするのではなく、全体病像を総合的に判断して、1級、2級又は3級のいずれかに認定されます。

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