肩の運動障害(可動域制限)として 10級10号 後遺障害認定(埼玉県)

(プライバシーに配慮して、簡略化しています)

経緯

バイクで走行中、駐車車両のドアが直近で開き、これを避けることができず車のドアに衝突して肩、頚部等を受傷。救急車にて都内の大学病院に搬送される。その後、外国人ということもあり、母国に帰国して治療や検査をして、日本で右肩の手術等の治療をするも治らず、症状固定。任意保険会社から事前認定で申請するも肩の審査を満足にしてもらえず非該当となり、保険会社に不信感を抱き、当事務所に相談、受任する。

問題点

①事故から4年経過しており、外国での治療等があり資料の収集の困難性と事故との相当因果関係の証明の問題点。

②肩に骨折、脱臼等の器質的損傷が認められていないという結果立証の問題点。

対処方法

①については、事実関係を精査して申請するも一部の資料が不足していて、相当因果関係が否定されました。これは外国の病院での資料の一部が言葉の問題で聴取できず収集できなかったこと等が原因でした。そこで、再度、精査してから、本人に帰国時に資料を収集して頂き、さらに日本の病院で主治医に医師面談をして医学的資料を作成して頂き、再異議申立で本件交通事故と肩の障害との相当因果関係を証明。

②肩に骨折や脱臼がなくとも、丁寧な検査をすれば、器質的損傷を発見できる場合があります。そこで、外国の病院で撮影した画像を資料として提出、その他資料を提出して肩の器質的損傷とその整合性を証明。

結果

右肩打撲後の運動障害として10級10号認定。

行政書士のコメント

行政書士肩に骨折、脱臼がない場合の肩関節の運動障害の証明は、実務上困難な証明となります。また、一度否定された因果関係の証明も実務上困難な証明になります。

これらの証明を任意保険会社から申請しても、認定される事はなかったといえる難易度の事案でした。

また専門家でも、マニュアル通りの方法では、被害者請求で申請しても認定はされなかった事案と考えられます。事実、私も一度目の申請では肩の器質的損傷の証明に力を入れ過ぎ、因果関係の問題を軽視して、相当因果関係が否定されてしまいました。これを真摯に受け止め、再度の異議申立で因果関係を丁寧に検証して、一つ一つ資料を積み上げて証明をして相当因果関係が認められたのが現実です。

通常は肩関節の可動域制限の証明は、単純なMRIを撮影して可動域を正確に測定すれば認定されると簡単に考えがちですが、本件のように難易度の高い事案も多くあるのも現実です。

自分も多くの事案を扱うとマニュアル化して機械的に捉えて処理してしまう時がありますが、同じ肩の運動障害の事案でも10人いたら10通りの処理の方法があり、一つ一つ丁寧に生きた事案として処理しなければならず、組織的・機械的なマニュアルでは処理できない個人の能力が必要とされると考えさせられる事案でした。

最後に、被害者の方は外国人で、日本に来日して職人として20年以上働き、結婚して、日本の家族と外国の家族を守って一生懸命働いていましたが、交通事故で肩に後遺障害が残り、職人の仕事もできず現在も苦労しています。この現実は受け止めなければならないけど、この等級と資料を基礎に裁判で適正な損害賠償を得て、外国人というハンデはありますが、日本でもう一度頑張ってほしいと思います。また、3度の医師面談等担当の医師には忙しい中、ご協力をして頂き感謝しています。最後まで協力して頂けたのは、この患者さんの人柄の良さで信頼関係が医師との間にあったことが理由といえます。私も、2年近くのお付き合いになりますが、自分が最後まで頑張れたのも、この人の人柄にあったと思います。

 

 

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