脊髄損傷 神経症状 1級1号(別表Ⅰ)後遺障害認定(千葉県)

(プライバシーに配慮して、簡略化しています)

受任の経緯

被害者が自転車で走行中、歩道で転倒して、車道に落ち、立ち上がろうとしたところを前方不注意の自動車がブレーキを踏んで回避しようとしたが間に合わず、頭部及び頚部を負傷、頭蓋骨開放骨折、頚随損傷(中心性脊髄損傷)となる。その後、労災適用で治療をして2年経過後に症状固定の相談を受け、受任。

問題点

1相手側は刑事責任の問題もあり、自らの過失を否認し刑事上も不起訴となって、場合によっては、自賠責の重過失等の問題も生じる可能性がある事故状況の問題。 

2①本人も記憶にない既往歴が経過診断書に記載されている問題②入院看護から自宅看護になる症状の増悪の可能性の証明の問題③頭蓋骨骨折による高次脳機能障害の可能性の問題④排尿障害、排便障害等の多岐にわたる脊髄損傷に伴う症状の立証の問題⑤任意保険会社の関与がない労災適用による資料収集の問題。

以上の立証が問題。

対処方法

1の事故状況については、検察が起訴するかを見極めながら、相手側保険会社に事故状況の説明を求めましたが、起訴前という理由で資料の開示が得られず、行政書士自ら現場検証を行い、判例等を調べ、その調査資料を慎重に検討して事故発生状況の証明。

2①中心性脊髄損傷のMRI画像等を精査、その他事実関係を証明するための資料を収集して診断書記載の既往症はないと確認 ②恵まれた環境の入院によるリハビリテーション完全介護から症状固定後は通院による自宅からのリハビリ等の治療となり数ヶ月で筋力等が衰え、その他の症状も増悪している事実を医学的に証明する資料の作成を医師に依頼 ③受傷当時の状態等から高次脳機能障害を疑いましたが、ご家族の話や、何度も本人と面談、特に認知障害等の異常はないと判断して、今回は様子を見ることにしました④排尿障害があったので、泌尿器科にて必要な検査を施行して証明、その他神経症状は複数の病院で神経学的な所見、特に入院中と比べて症状固定後に増悪していた点を医学的に証明 ⑤複数病院の診断書、レセプト、後遺障害診断書、その他脊髄損傷用の資料、当事務所で個別に作成した様式の医学的な資料を医師に作成をお願いして、その他生活状況をまとめ、多岐にわたる脊髄損傷の症状の証明のための資料を作成。

結果

脊髄損傷の神経症状として、常時介護 1級1号(別表1)後遺障害認定(重過失なし)。

行政書士のコメント

今考えれば事故状況についてはこれほど慎重になる必要はなかったかもしれませんが、資料の確認ができず、本人の供述以外に信頼するものがなく、この論点で失敗は許されないので慎重にならざる得ませんでした。

また、医学的な証明も既往症がないのになぜかその記載があり、さらに、1級と確実にいえるだけの所見が症状固定時にはなく、その後の経過が重要な意味があると考え、時間をかけて丁寧な証明をしました。

脊髄損傷の後遺障害の証明は、画像と神経学的検査の整合性があれば適正な等級が認定されると考えていましたが、今まで多数の事例を経験して、中心性脊髄損傷の画像の問題、神経学的検査の内容とその検査時期、排尿・排便障害、勃起不全、その他多様な症状の医学的証明、併存される傷病の可能性、増悪性の問題等将来の介護の問題など多様な論点が生じる難しい事案であるといえます。本件も、難しい問題が生じ、その効果の大きさからプレッシャーを感じていたのが本音です。

初めて本人にお会いしたのが、地方の療養施設でした。不自由な身体を一人で手すりに掴まり一生懸命リハビリしていた姿が今も忘れられません。その後、症状固定をして申請段階になっても1級の「事実」証明に足りる確実な資料収集ができない時でも、最後まで信頼して協力して頂きました。そして、脊髄損傷のような重篤な事案では自賠責保険の審査も厳格で長期間になり、労災の休業補償も打ち切られ、その中で家族は生活しなければならず、時間とも戦い、後遺障害認定の結果の書面を見て結果をご報告したときは嬉しく思いました。

自賠責の要介護1級の場合の賠償金は、後遺障害部分の逸失利益、慰謝料、介護費用等で高額な賠償金になります。その裁判の基礎になるのが今回収集した資料と認定の結果になります。自賠責保険の申請の代理を受任した行政書士としては大きな責任を感じ、途中も多くの問題もありましたが、今は責任を果たせて安堵しました。今は弁護士に引き継ぎ行政書士の役割は終わりましたが、この事故を乗り越え、ご家族共に安心して暮らせるようになること、心より願っています。

最後に、初診時の完璧な救急医療については、尊敬致します。人の命を懸命に救う病院関係者の意思が治療内容、検査、診断書、レセプト等から読み取れ、後遺障害の認定でも「事実」の証明について有益な資料となり、感謝しています。他の方もこの病院系列で現在申請中ですが同じ意思が感じられます。特に重篤な事案では医師等病院関係者の努力に感謝しなければいけないと感じられる事案でした。

 

脊髄損傷による神経症状の等級認定

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