示談成立後の高次脳機能障害の認定の可能性について

10年以上前の交通事故の脳外傷により、一時的に意識を失い、その後回復して医師から後遺障害は残らない旨の説明を受け示談をしたが、その後、新しいことを覚えられなくなるなどの記憶障害、集中力が低下するなどの注意障害、作業が要領よくできなくなるなどの遂行機能障害、物事に無関心になったり、反対に感情をコントロールできず怒鳴ったり暴力的になったりするなどの社会的行動障害など事故前と変わってしまった等の被害者のご家族からの相談を多く受けます。

この場合、高次脳機能障害の専門医の受診を勧めると、高次脳機能障害等の診断が新たにされることがあります。

この問題点は、高次脳機能障害の社会的認知度が低く、上記の高次脳機能障害の症状は、目に見えない精神的な症状で、ご家族も気づくのが遅れ、その性質上本人に自覚症状はなく、例えば、脳外科の医師でも高次脳機能障害についての認識は低く、10年以上経過しても放置される場合がある点にあります。

しかし、示談が成立した場合でも、交通事故から20年を超えない場合には、裁判も可能で、自賠責保険でも高次脳機能障害の申請はできる場合があります。

10年以上交通事故から経過しても、交通事故の当時に脳外傷があり、意識障害(軽度の意識障害も含む)があり、事故後に記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害の変化がある場合には高次脳機能障害の可能性があります。

この場合の高次脳機能障害の証明は困難性もありますが、不可能ではありません。

示談が成立しても諦めず、高次脳機能障害に詳しい行政書士等の専門家に相談してください。

一般的には難しい説明ですが、以下は、自賠責保険の高次脳機能障害の認定要件(簡略化)とその判断についての簡単な説明です。

①意識障害に有無と程度   

原則として、脳外傷後に意識障害がおよそ6時間以上継続する場合(例外もあります)。

②画像所見   

びまん性軸索損傷の場合には、受傷直後に脳内に点状出血などの脳内の変化があり、その後の経過画像で脳室拡大や脳溝拡大、全体的な脳萎縮が3カ月以内に認められること。

局在性脳損傷の場合で明らかな頭蓋内血腫等がある場合でも、その部位の経過的な脳萎縮の変化所見は重要となります。

(自賠責保険2011年3月現在:脳の器質的損傷の判断にあたっては、従前と同じくCT,MRIが有用な資料であると考えています。なお、CT、MRIで異常所見が得られない場合に、拡散テンソル画像(DTI)。fMRI、MRスペクトロスコピー、PETで異常が認められたとしても、それのみでは、脳損傷の有無、認知・行動面の症状と脳損傷の因果関係あるいは障害の程度を確定することはできないとしています。)

③因果関係の判断

自賠責保険では、最初に具体的症状が発現して、その後に軽減すると考えられ、例えば受傷時に頭部に軽度の打撲がある場合に、その後に通常生活に戻り、受傷数カ月後に高次脳機能障害の症状を発症した場合には、外傷性を否定され、内因性の問題として処理され、外傷性の高次脳医機能障害の因果関係は否定される場合があります。

④障害把握について

医師による具体的な所見を用いて判断するが、医師は日常生活の細部については把握していないので、家族等に照会等をして「日常生活状況報告表」の作成をお願いして、より細やかに適正な後遺障害等級認定のための資料を収集しています。

 

以上は、簡単な自賠責保険の高次脳機能障害の認定の説明ですが、多数の相談、事案を処理しての感想ですが、一つ一つの事案は様々な過程を経ており、その事案の判断は難しく、一つ一つに様々な論点があります。そして、その時間の経過と共に高次脳機能障害の事実証明をするための資料の収集も難しいものになるのが現実です。出来る限り早い段階で、高次脳機能障害の事を理解して相談して頂ければと思います。

 

 


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